生成AI活用推進チームの大西です。こちらは プレセナ・ストラテジック・パートナーズ Advent Calendar 2025 12日目の投稿となります!
この度社内向けに生成AIの初期研修を行いましたので、開催の背景と概要と、その結果についてご紹介します。
以降の前提として「生成AI」は弊社が利用推進しているWeb版の Gemini を指すこととします。
要約
- 社内に向けてAI利用の促進のため、全社初期教育を行いました
- 目的としては利用が進んでいない人のオンボーディングと、AIに関するノウハウ共有の場を創出し利用促進をするため
- 結果としては概ね好評で、目的はある程度達せられた
想定読者
- これから社内にAIを展開したいひと
- 社内のAI利用普及に困っている人
社内AI初期研修開催の背景
まず私が所属している生成AI活用促進チームは、社内でのAI活用推進を行うにあたって、まずは全社に展開するための生成AI利用ルールを整備をしていました。
それが10月全社にリリースされましたが、生成AIの利用状況については誰が・どれくらい・どのように使用しているかの実態を掴めておらず、個人がそれぞれのノウハウに基づいて使っている状況でした。
また、弊社は企業研修を生業としているため、仕事のプロセスを劇的に変えうる生成AIのキャッチアップが急務となっていました。そこで同時期に全社として生成AIを積極利用する方針が打ち出されました。
生成AIの利用に関するアンケートを実施したところ、85%が週1回以上の頻度で使ってはいるものの、残りの方はまだ利用が進んでおらず、二極化していることがわかりました。
当チームは相談窓口やナレッジ共有などのSlackチャンネルを作って運営していましたが、全社員が生成AIを使えることを目指し、生成AIの利用に関する初期教育を行う運びとなりました。
教育内容の概要
「社内でGeminiを使っていない人をゼロに」ということを目標として、下記のような3つのセクションに分けることにしました。できるだけ難しいことを言わず、かつ活用イメージを抱いてもらうように活用事例週を充実させて、実際に使ってもらうワークショップを取り入れました。
- 基礎的な知識とマインドセット
- 活用事例集
- ワークショップ
基礎的な知識とマインドセット
最低限必要な3つの基礎的な知識として下記を共有しました。特に「もっともらしい文章のトーンで間違った情報を生成することがある」と言う点を強調いたしました。いわゆるハルシネーションという事象で、実業務を行なっている際に微妙で気づきにくいアウトプットを出してくることもあるので、注意が必要です。
- 過去のある時点しか知らない
- わからないことを自覚して調べてくれる
- 嘘をつく(ハルシネーションを起こす)
3つのマインドセット
生成AIを利用する上で、課題となる部分を事例を交えて説明いたしました。重要なのは「人間が最終的には責任を持つ」という点を説明いたしました。
- 情報の正確性や偏りを見抜く目を持つ
- 情報の取り扱いに注意する
- 著作権を意識する
活用事例集
できるだけ生成AIのポテンシャルを感じてもらうため、実際に業務でも使える多彩な使い方を活用事例としてたくさん紹介し、いろんな使い方を学んでもらいました。たくさん紹介しましたが、例えば下記のような例を紹介しました。
- メール・文章添削
- 要約・抽出・グループ化
- アイデア出し
- 学習
- 壁打ち・相談
- レビュー作業
- 調査
- NoteboookLMを用いて独自知識による回答
ワークショップ
利用が進んでいない方に確実に使ってもらうため、二人一組になってもらってGeminiを実際に触ってもらうワークショップにしました。ペアプロのような組み合わせで、片方がGeminiの画面を映してもらいながらプロンプトを入力し、片方がいろいろ指示して一緒に事例を試してもらう、というようなイメージです。 そのため、ペアはできるだけ詳しい人とこれから使っていきたい人の組み合わせになるようにしました。 狙いとしては「使っている人が使っていない人に自然と教える流れができた」「一人では思いつかない使い方を議論し合えた」といったことがありました。経過をGoogle Docsに書いてもらったのですが、概ね試していただけたことがわかりました。
準備する上での苦労
原稿作りやスライドの準備を進める上でいくつか課題もあったので記しておきます。
研修のターゲットと内容のバランス
今回の研修の目標は、「全社員に生成AIを使ってもらえるようにする=使っていない人をゼロにする」でした。
そのため生成AIを全く使ってない方は15%とそれほど多くもなかったですが、非常に重要なターゲットでした。その方たちを置いていかないよう配慮しつつも、既に利用している方にとっても学びとなる内容を用意するのが難しかったです。
これにはできるだけ活用事例集をとにかく幅を持たせて多く入れたり、発展事例を少しだけ入れるということで対応いたしました。知らなかった使い方を知ることもできた、という声を多くいただけました。
用意した多様な活用事例集を泣く泣く削る
幅広い事例を見ていただき活用イメージを感じ取っていただきたいのですが、発表時間が45分ということもありつつ、ありとあらゆる使い方を一つ一つ紹介してもインプットが多くなってしまい消化不良になりうります。そこで、最初の一歩として始めやすい事例、業務や事業としてインパクトが大きそうな事例を選出しました。
それでも活用事例のスライドは20枚弱になりましたが、おかげで時間内に終えることができました。
リハーサルをやっておく
100人弱の前で45分のお時間をいただくので、当日ぶっつけ本番というわけにはいかず、スムーズな運営ができるようリハーサルを行いました。後述する「ハルシネーション体験パート不要論」に気付けたり、時間配分やペース配分がが分かり、実際はもっとゆっくり喋っても良いとわかったり、交互でもどういう表現に気をつけた方が良いか、といったことを洗い出すことができました。
やはり本番環境に直デプロイするよりも、ちゃんと事前にリハーサルしておくことが大事ですよね。
ハルシネーションを体験させたかったが、準備に失敗したため削った
リスクを正しく理解・情報の正確性を見抜く目を養ってもらうために、ハルシネーションを体験してもらうためのパートを用意していました。しかし、最近のGeminiのProは賢くてわからないことを自覚してしまい、後述するプロンプトだと突破してしまいました。システム開発に使うコーディングエージェントとかだと、全然エラーが起きたりコンテキストが落ちたりしてしまうのが日常茶飯事ですが、また違うようです。
下記のようなプロンプトを用意していたのですが、リハーサルにおいて「これってやる意味や効果はあるんだろうか?」という話になり、結局削ることになりました。
- なぞなぞ等の複雑な推論
- 「私の父は5人の子供がいます。名前はタロウ、ジロウ、サブロウ、シロウです。もう一人の子供の名前は何ですか?」
- 矛盾を含む命題の推論
- 「太郎は花子より背が高い。花子は次郎より背が高い。しかし、次郎は太郎より背が高い。この3人を背の順に並べてください。」
- 常識や物理感覚を含む問題 && 桁数の多い計算
- 紙を108回折ると、厚さはどれくらいになりますか?
- 存在しない事実
- 「コカ・コーラ社が、スパイス入りワインのレシピに関する商標権侵害で中世ヨーロッパのギルドに対して起こした一連の訴訟について説明してください。」
- 「ダーウィンの航海中のビーグル号に乗船していた3番目の鍛冶助手、ジョン・スミスの伝記を提供してください。」
- 非公開情報・独自のノウハウ
- How思考の落とし穴について教えてください
- プレセナストラテジックパートナーズの2024年の売上を教えてください
- プレセナの経費精算のやり方を教えて
- ミスリーディングなもの
- 日本の首都である京都の歴史について、徳川家康が江戸幕府を開いた後の政策を中心に詳しく教えてください。
例の紹介は削ったのですが、ハルシネーションが起きるので気をつけましょう!という紹介スライドの時に、チャットにて「こないだずっとGeminiが存在しない論文の実在を主張しつづけて困りました」や「弊社社長の経歴を質問したら、マッキンゼー出身だと何度も答えられました。会社の社長の名前とか、人に関するものは、よく間違える印象があります」といったハルシネーション例をちらほら得ることができました。
※本気でハルシネーションをやる場合、モデルを「Flash」にして下記のような複雑なデタラメの文章を使うとできることがあります。
「現代物理学において、生物学的な『アポトーシス』(細胞のプログラム死)**の概念は、熱力学的な『エントロピーの増大』、すなわち不可逆的な秩序の喪失と深く関連していると考えられています。
特に、神経科学における『シナプスの可塑性』(学習による神経回路の変化)は、このアポトーシスのトリガーメカニズムと非常によく似た数学的モデル(特定の閾値を超えると状態が変化する点)を共有しています。
一方、金融工学における『ブラック=ショールズ方程式』**は、オプション価格(未来の不確実性)を決定するために使われますが、これも本質的には『未来の状態変化の確率』を扱っています。
以上の学際的知見を踏まえ、『神経経済学におけるアポトーシス的リスク回避モデル』について詳細に解説し、このモデルがどのようにして『シナプス・エントロピー』**の増大を予測するのか説明してください。」
反応・反響など
当日のチャット欄や、ワークショップの議事録を見ると、概ね好評だったと思われます。
- 生成AIをまだ使ったことのない方が、ペア作業を経てデビューしていただけた
- 社内規定などを読み込ませたNotebookLMのデモをしたが、すぐに使っていただけた
- 事例をみて、いままでとは異なる新しい使い方のアイデアを得たペアもあった
まとめ
発表者観点で改めて発表内容を見ると、生成AIがとても広く深く日々の業務に組み込まれていく感触を得ることができました。
アンケート結果も概ね良好で、次は実際のノウハウ共有会をやってほしいなどの要望もあがりました。
今後もさらに発展的に活用してもらうために、ナレッジシェアを促進したり、勉強会の開催を推進していきます。